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福澤諭吉の思想に学ぶ

今から9年前2009年1月10日〜3月8日まで開催された『未来をひらく福澤諭吉展』の感想をメルマガで配信したものを再掲載します。
再掲載にあたって削除したり加筆したりした部分もあります。
9年たった今、また福澤諭吉について理解を深めたくて、子ども用の伝記漫画を何冊か読んでいるところです。新たな人物像が浮かび上がってきて、ますます福澤がどういう考え方をしていたのか知りたくなってきています。
2018年大河ドラマ「西郷どん」。実は福澤諭吉は、政府から孤立してしまう西郷を弁護する小論「丁丑公論(ていちゅうこうろん)」を書いたそうです。
福澤諭吉の思想と西郷どんの思想、通じるものがあったのではないでしょうか。
福澤諭吉の思想と西郷どんの興味深い関係性、新たに見つけた福澤諭吉の魅力。
またまとまったらここで書いてみたいと思います。
では、9年前の文章ですが、よかったらお読みいただけたら幸いです(三木)。

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【 独立自尊 福澤諭吉 自立のススメ 】
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上野の東京国立博物館で開催されている
福澤諭吉展を見に行ってきました。

諭吉が書いた「独立自尊」という言葉を初めて知りました。

わたしは、この言葉をとても好きになりました。
20世紀の始まりの朝に書いた言葉が、
100年以上たった21世紀に生きる私たちに届いてくる。
人間の根っこや真実は変わらないんだなあと思います。

みんなで一緒にやりましょう。という気さくさや思い切りの良さ。
生涯民間の姿勢を貫いたこと。子煩悩なパパとしての諭吉の姿。

実は古い史料を見るのはあまり得意ではないのですが、
確かにこの世に生きていたという迫力みたいなものを感じました。

福澤は「福翁自伝」という自伝を残していますが、読むのが難しそう。
そこで「座右の諭吉」という本で、人物像をおさらいしてみました。

■なぜすぐにやらないのか。
→スピードを重要視していた。

■空威張りは敵
→役人気質を批判。
学び続ける能力で食べていくのだという意識で
常に自分を向上させていくことが大切。

など著者の解釈で福澤にアプローチすることができます。

「独立自尊」。
独立心を持つことが自分を大切にすることにつながる…
そうわたしは解釈しました。

なにかうまくいかないときは、
ほかの誰かやなにかに依存している状態であることが
多いのではないでしょうか。

ここで、自分でなんとか切り抜ける考え方に切り替えると…。
→ うまくできたかは別としてがんばった自分を褒めてやれる。
→ 自分に自信がついてくる。
このような自分の変化・状況の変化が得られるのではないでしょうか。

さて、福澤は人一倍健康に気をつかっていたそうです。
まさに体が資本。に忠実な毎日を送っていたようです。
みなさまもお体には十分お気をつけくださいね。

未来をひらく福澤諭吉展
http://www.fukuzawa2009.jp/

座右の諭吉 才能より決断 (光文社新書)齋藤 孝

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)福沢 諭吉

花森安治さんのことば「ただ一人を相手にして」

2010年2月に配信したメールマガジンで、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でおなじみになった花森安治さんについて書いています。こちらに再掲載します。

「宣伝トイフ者ハ、
千億人ヲ相手ニスルナド
大ソレタコトヲ思フベカラズ。

タダ一人ヲ相手ニシテ、
根カギリヤルベシ」

これは、花森安治さんの言葉です。

「暮しの手帖」は、戦後の日本に、
豊かで賢い暮らし方を提案し続けた雑誌です。

花森さんは「暮しの手帖」の編集長でした。

花森さんは、表紙の絵も描いたし、文章も書いたし、
キャッチコピーや挿絵も書いていました。

だから、花森さんがどんな人かを言い表すのには
「編集者」というより「職人」と言ったほうが
ふさわしいのかもしれません。

私は、そんな花森さんの書くキャッチコピーや文章に触れたとき、

ここに集客のヒントがぎっしり詰まっている!
と思いました。

なぜ花森さんの書くものは、
心に色濃く残るインパクトがあるのでしょう。

それはやはり、冒頭の言葉にすべて込められているのではないでしょうか。

「広告宣伝とは常に一人一人の個人に訴えかけるもので
なければならない。」

花森さんはこのように言っています。

「タダ一人ヲ相手ニシテ」

これを実現するために、他の編集部員に怒号を
飛ばすことが日常茶飯事だったようです。

「わかりやすい言葉以外は使うな。
ぜんぶひら仮名で書いてみて、そのままでわかる言葉を使え。」

「難解でもないことを難解にいうのは
バカな学者がやることだ。
難解なことをわかりやすく表現し、正確につたえる、
それが編集者のしごとだ。」

ただ一人を相手にすることに集中し続けた
花森さんの言葉たちです。

ひとつひとつの言葉へのこだわり。
これこそが、インパクトのあるキャッチコピーや文章の
産まれる秘密なのだと思いました。

みなさまも、キャッチコピーや文章を書くことがあったら
「タダ一人ヲ相手ニシテ」考えてみませんか。

一戔五厘の旗 花森 安治

花森安治の編集室 唐沢 平吉

花森安治の仕事  酒井 寛

2018年大河ドラマ「西郷どん」にちなみ

2007年に発行したメルマガに、西郷南洲こと西郷隆盛について触れた文があったので、こちらに再掲載します。同じく鹿児島出身の京セラの創立者稲森和夫さんが書いた『人生の王道』という本を読んで当時思ったことを書いています。再掲載にあたり一部削除、再編集した箇所があります。

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【「人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ」稲盛和夫】
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先日、一冊の本をもらいました。

「人生の王道 西郷南洲の教えに学ぶ」稲盛和夫

西郷南洲とは、西郷隆盛のこと。
余談ですが「おいどんは〜」というイメージがついていますが
実際に自分のことは「おいどん」とは言わなかったらしいです。

この本の著者・稲盛和夫さんは、京セラを設立して、
いまは名誉会長をしている人です。

前者は大切なことを生涯貫いた人、
後者は現在進行形で貫き続けている人です。

西郷は、島流しにあっても信念をまげなかった。

ここでちょっと想像してみましょう。

そもそも島流しって今のことばを使って言うと
「ありえなーい」
ことですよね?

「そんなの理想だ」
「きれいごとばかり言うな」
「そんなもんだよね…」
周りでは、そういう声をよく聞きます。

西郷は、努力する前からあきらめる人のことを
「卑怯」と言ったそうです。

そして、高い目標を掲げ、それをあきらめなかった。
言うだけじゃなくそれを実践したのです。

それを「正道を歩む」と言っています。
「正道」とはつまり、本のタイトルにある「王道」。

一方稲盛さんは本の中で

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

という方程式を説いています。

3つのうちいちばん大切なのは
「熱意」だとわたしは思うのです。

なぜ「熱意」をはかるものさしがないのか。

以前そのように考え悩んだことがありました。

「熱意」は人によるものだからなのです。
人のさじに委ねられている部分が非常に大きいのです。
伝える方にも受け取る方にも責任がある。

一方的な規則を書いた紙切れが効力をなさないのはそのためです。

「熱意」を受け止める「人格」。
それを兼ね備えていないと、
もっとも大切である「熱意」に気づくことができない。

では、気づかれなかった「熱意」はどこに行くのでしょうか。
「熱意」は暴走します。
ストレスとなり、違ったかたちであらわれてしまいます。
これは悲劇以外のなにものでもありません。

だから「人格」をいつも磨いて、
人の「熱意」を見逃さないようにすることが
リーダーである経営者に
必要な要素なのではないかと思ったのです。

「人格」は絶えず努力すること。
生きている限り決して完成型などないのです。

「能力」は、このふたつについてくるもの。
これは言うまでもありません。

本の内容から脱線してしまいましたが
西郷隆盛と稲盛和夫さん2人の生き方は尊く
美しい。本を読んでうっとりしました。

わたしは、まだまだ未熟者ですが、
絶えず努力を続けていこうと思います。

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11年前に書いた文です。今手元に本がなく読み返してはいないのですが、もう一度読み直して西郷どんの人生の王道、正道について考えてみたいと思いました(三木)

よりぬき「アルタンクニュース」118号

 2010.10.28発行の「アルタンクニュース」から(一部文章を削除、加筆などしています)
 最近こんなものを食べました!
 ●「根津のたいやき」(根津)
   パリパリの皮に、あつあつのあん。
 ● 「フクナガフルーツパーラー」(四谷三丁目)いちじくパフェ
  みずみずしくてフレッシュないちじく。
 ●「ハリッツ」(代々木上原)ドーナツ
  ふわふわな丸っこい形にもちもちの食感。
 ●「とんかつ太郎」(新潟)たれカツ丼
  甘いタレがよくしみたやわらかなたれカツ。
 ● 「ひと本石田屋」(上板橋)栗まんじゅう
  ごろごろ1個の栗入り。
 ● 「タカセ」(下板橋)あんぱん
  ぎっしりつまったこしあん。
 どれもまた食べたいものばかりです。
 それにしても、味の記憶ってほんとうに
 言葉だけで言い表すのがむずかしいです。
 でも、もう一度食べたい。と思う動機は
 味はもちろん、食感、色や形の見た目、大きさ、
 五感すべてで感じたことからくるものだと思いました。
 頭をからっぽにして、「快」を感じる食べもの。
 これがもう一度食べたくなる食べものだろうと思います。
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 ファッションデザイナーの皆川明さんのノートに
 「着る人に向かっているか?」
 という言葉が記されていました。
 そしてこう続けて書かれています。
 「その為に原料からデザインが一つにつながっているか?」
 「ミナペルホネン」というブランドのテキスタイルは
 すべてが手書きのスケッチのくりかえしでできているそうです。
 何度も描き直して、素材を練り直して、幾度となく打ち合わせをして。
 そういうふうにできているのがわかります。
 ひとつひとつに物語がある、本当に素敵なテキスタイルだと思います。
 ここで一部のテキスタイルが見られます。
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 五感にはたらきかけるものに共通していることは
 手間ひまがかかっているということかもしれません。
 老舗のお店は最初からそうだったわけではありません。
 食べる人の方を向き続けていたら、
 次第に老舗と呼ばれるようになっていったのだと思います。
 「食べる人の方を向いている」
 そんなお店のおいしい食べものをこれからも
 見つけていけたらいいなあと思っています。
 みなさまのおすすめ、もしよかったら教えてください。