かゆいところに手が届く

 「かゆいところに手が届く」という言葉があります。

 先日喫茶店に入ったときのことです。
 古くからの洋菓子屋の喫茶室で、以前から行ってみたかったお店です。
 コーヒーや紅茶などのお茶類は840円。
 普段行っているお店よりは少々お高い…のですが、おかわり自由とのこと。

 クラシックが流れるそうじの行き届いた空間です。
 テーブルには、ひとつひとつ花を生けてあります。
 店員さんは、清潔感があり、ニコッと笑顔が素敵です。

 空間にここちのよい緊張感があり、調和を感じられます。
 「おかわりいかがですか」
 一杯飲み終わってひといきついたとき、
 いいタイミングで声をかけられました。

 それは絶妙のタイミングでした。

 飲み終わって直後でもだめだし、
 逆に時間がたちすぎて、
 おかわりって自分から声かけるのかな…と不安になるのもだめ。

 このタイミングをはかれる店員さんは、
 わたしのかゆいところに手が届いているのでした。

 では、どうしてその店員さんは、私のかゆみに気がつくのでしょうか。

 店員さんの気配りがお客のほうに集中しているからだと思います。
 別のことをしていても、優先順位の高いところに
 
常に「お客様」をおいているから。

 お店をそうじするのも、花を生けるのも、
 ルーチンワークではなく、「お客様の満足いくひとときのため」
 お店側のそういう思いが念頭にあるからこそ、
 空間の調和が保たれるのではないでしょうか。

 値段以上の価値を感じられるのは、このようなサービスだと思います。
 このお店にもう一度行きたいなと思ったのは、言うまでもありません。

〜アルタンクニュース57号より抜粋